新年になると、ニュースや街中の話題、SNSなどで耳にすることが多い「十日戎(とおかえびす)」。
名前は聞いたことがあっても、 なんとなく商売繁盛のお祭りというイメージだけで、 「実際にはどんな行事なんだろう?」「難しい決まりごとはあるのかな?」と、少し距離を感じている方もいるかもしれません。
また、 「女性一人で行っても大丈夫?」「初めてでも浮かない?」など、 気になることがいくつも頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな不安や疑問をやさしく解消できるように、 行事にあまり詳しくない初心者の方でも安心して読める内容を心がけています。
十日戎の基本的な意味や由来はもちろん、 縁起物の福笹や熊手のこと、参拝の流れやちょっとした注意点まで、 専門用語はできるだけ使わずに、やさしい言葉で丁寧にご紹介していきます。
「少し知ってから行ってみたい」 「雰囲気だけでも知りたい」
そんな気持ちで読み進めていただければ大丈夫です。
十日戎とは?どんな行事?

十日戎とは、商売繁盛や金運アップを願うお祭りです。
七福神の一人である「えびす様」をおまつりし、 「今年もお仕事がうまくいきますように」「良いご縁がありますように」とお願いする方がたくさん訪れます。
関西では親しみを込めて、「えべっさん」と呼ばれることも多いですよ。
商売をしている人だけでなく、 最近では
- 副業を始めた方
- フリーランスの女性
- 新年の縁起担ぎをしたい方
など、幅広い人が参拝しています。
十日戎はいつ行われる?期間と日程

十日戎は、毎年1月9日〜11日の3日間に行われます。
宵戎・本戎・残り福の違い
それぞれの日には、こんな呼び方があります。
- 1月9日 宵戎(よいえびす)
お祭りの前夜。比較的ゆったり参拝しやすい日です。 - 1月10日 本戎(ほんえびす)
十日戎のメインの日で、最も人出が多くなります。 - 1月11日 残り福(のこりふく)
「最後まで福が残っている」という縁起の良い日とされています。
日程は毎年変わる?
十日戎は、毎年日付が固定されています。 曜日に関係なく1月9日〜11日なので、予定を立てやすいのも嬉しいポイントです。
十日戎は関西だけ?地域ごとの違い

十日戎は、特に関西地方で盛んなお祭りです。
兵庫や大阪、京都では、新年の恒例行事としてとても親しまれています。
一方、関東地方では「十日戎」よりも、酉の市(とりのいち)という商売繁盛の行事が有名です。
この違いが、後ほどご紹介する 「福笹」と「熊手」の文化の違いにもつながっています。
十日戎の由来・起源
十日戎のはじまりには、いくつかの説があります。 難しく感じやすい内容なので、できるだけ簡単にご紹介しますね。
御狩神事(みかりしんじ)説
とても昔、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を願って行われていた神事が、 十日戎の原型になったと言われています。
「食べ物に困らない=生活が豊か」という考え方が、 今の商売繁盛につながっていると考えると、わかりやすいですね。
江戸時代の商人文化説
江戸時代になると、商人の間で 「えびす様にお参りすると商売がうまくいく」 という信仰が広まりました。
この頃から、 商売繁盛を願う行事としての十日戎が定着したと言われています。
なぜ十日戎は商売繁盛の行事なの?

えびす様は、 もともと漁業や農業の神様とされています。
魚がたくさん獲れたり、作物が順調に育ったりすることは、 昔の人々にとって「生きていくための大切な恵み」でした。
そこから次第に、 「食べ物が豊かに手に入る」→「毎日の生活が安定する」→「家族や暮らしが守られる」
という考え方が生まれ、 さらに時代が進むにつれて、 「仕事が順調になる」「商いがうまくいく」 という意味合いへとつながっていきました。
このような流れの中で、えびす様は 人々の暮らしや仕事を見守ってくれる存在として親しまれ、 今では 商売繁盛の神様として広く信仰されるようになったのです。
十日戎の縁起物とは?
十日戎では、参拝を終えたあとに、縁起物(えんぎもの)を授かるのが大きな特徴です。
この縁起物は、ただの記念品ではなく、 お参りをした証として「福」や「良い流れ」を 自分の生活の場へ持ち帰るためのものと考えられています。
縁起物には 「神様からいただいた福を、家やお店にそっと迎え入れる」 「一年を通して見守ってもらう」 といった、やさしい意味が込められています。
そのため、多くの方が 「今年も良い年になりますように」 「毎日を前向きな気持ちで過ごせますように」 と願いながら、丁寧に縁起物を受け取っています。
福笹(ふくざさ)とは?

福笹の意味・由来
福笹は、笹の枝にたくさんの縁起物をつけたものです。
笹は
- まっすぐ育つ
- 冬でも青々としている
ことから、 生命力や成長の象徴とされています。
福笹につける吉兆の意味
福笹には、お願いごとに合わせて縁起物をつけてもらいます。
- 小判:金運アップ
- 鯛:おめでたい出来事
- 米俵:食べ物や生活の安定
- 打ち出の小槌:願いを叶える
福笹の値段相場
福笹は、 1,000円〜3,000円前後が一般的です。
無理のない金額で大丈夫なので、気軽に選んでくださいね。
古い福笹はどうする?
前年の福笹は、 参拝した神社に返納するのが基本です。
自宅で処分するより、 神社にお返しする方が安心ですよ。
熊手(くまで)とは?

熊手の意味・由来
熊手は、「福をかき集める」という意味を持つ縁起物です。
主に関東の商売繁盛行事で使われることが多いです。
熊手と福笹の違い
簡単にまとめると、
- 関西:福笹
- 関東:熊手
というイメージでOKです。
どちらも「福を招く」という意味は同じなので、 地域や好みに合わせて選びましょう。
十日戎のお参りの仕方・流れ
初めてでも大丈夫。 基本的な流れはとてもシンプルです。
- 鳥居をくぐり、手を清める
- お賽銭を入れてお願い事をする
- 縁起物を授かる
神社によっては、 裏口から入って表へ出る参拝方法もありますが、 案内に従えば問題ありません。
十日戎でやってはいけないこと
- 縁起物をぞんざいに扱う
- 境内で大声を出す
- 写真撮影禁止の場所で撮る
基本的なマナーを守れば、 心配することはありません。
有名な十日戎の神社

- 西宮神社(兵庫県):十日戎の総本社
- 今宮戎神社(大阪府):大阪で人気
- 京都ゑびす神社(京都府):女性参拝者も多い
十日戎はこんな人におすすめ
- お仕事運を上げたい方
- 副業や新しい挑戦を始めた方
- 新年を前向きな気持ちで迎えたい方
よくある質問(FAQ)
Q:女性一人でも行って大丈夫?
A:もちろん大丈夫です。実際に女性の参拝者もとても多く、 一人で来ている方も珍しくありません。
屋台が並んでいたり、境内が明るく賑やかな雰囲気だったりするので、 初めての方でも不安を感じにくい行事です。
「一人だと少し緊張しそう…」という場合は、 昼間の時間帯を選ぶと、より落ち着いて参拝できますよ。
Q:毎年行かないといけませんか?
A:必須ではありません。 十日戎は「必ず毎年行かなければいけない行事」ではなく、 ご自身の気持ちやタイミングを大切にして大丈夫です。
「今年は行ってみようかな」と思った年に参拝したり、 節目の年だけお参りしたりと、無理のない形で続けている方も多いですよ。
まとめ

十日戎は、 新しい一年を前向きな気持ちでスタートするための、 やさしくあたたかい日本の行事です。
一年のはじまりに、 自分の気持ちをそっと整えたり、 「これからも頑張っていこう」と心の中で区切りをつけたりする、 そんな意味合いも込められています。
難しく考えすぎる必要はありません。 参拝の作法や細かい知識に自信がなくても、 「ちょっと行ってみようかな」 「雰囲気を感じてみたいな」 という気持ちで大丈夫です。
お参りを終えるころには、 不思議と気持ちが落ち着いたり、 新しい一年に向けて少し前向きな気持ちになれたりするはずです。
きっと、 心がふっと軽くなり、 明日からを大切に過ごしたくなるような、 そんな小さな変化を感じられると思います。

