大晦日の夜になると、お寺から「ゴーン、ゴーン」と除夜の鐘が聞こえてきます。
毎年耳にするものの、「なぜ除夜の鐘を鳴らすの?」「どうして108回なの?」「何時から鳴らすの?」と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
除夜の鐘には、一年の煩悩を払い、清らかな気持ちで新しい年を迎えるという意味が込められています。
また、108回という数字には「108の煩悩」という説がよく知られていますが、それだけではなく、1年間の暦や「四苦八苦」に結びつける説など、いくつかの考え方があります。
この記事では、除夜の鐘の意味から108回の理由、鐘を撞く時間、107回と最後の1回の意味、由来や歴史、実際に鐘を撞くときのマナーまで分かりやすく紹介します。
1. 除夜の鐘の意味とは?なぜ大晦日に鐘を撞くの?
除夜の鐘とは?
除夜の鐘とは、大晦日の夜から新年にかけて、寺院で撞かれる鐘のことです。
「除夜の鐘」という名前からも分かるように、年が変わる節目に鐘を撞くことで、古い年を締めくくり、新しい年を迎える意味があります。
一般的には、日付が変わる前後に鐘を撞き、108回の鐘の音を響かせます。
除夜の鐘には、単に年越しの時刻を知らせるだけではなく、人間の煩悩を取り除き、清らかな心で新年を迎えるという仏教的な意味が込められています。
「除夜」とはどういう意味?
「除夜」とは、大晦日の夜、つまり一年の最後の夜を指す言葉です。
「除」には、古いものを取り除くという意味があります。
そのため除夜には、古い年を押しのけて新しい年を迎える夜という意味があります。
つまり「除夜の鐘」という名前には、一年の終わりに鐘を撞き、古い年から新しい年へと気持ちを切り替えるという意味が込められていると考えると分かりやすいでしょう。
除夜の鐘にはどんな意味がある?
除夜の鐘の代表的な意味は、一年の煩悩を払い、清らかな気持ちで新年を迎えることです。
仏教でいう煩悩とは、人間の心を悩ませたり、迷わせたりする欲望や執着などを指します。
大晦日の夜に響く鐘の音を聞きながら一年を振り返り、これまでの悩みや迷いを手放して、新しい年を迎える。
それが除夜の鐘に込められた大切な意味の一つです。
2. 除夜の鐘が108回なのはなぜ?その意味と由来
108回撞くのは「108の煩悩」を表しているから
除夜の鐘が108回撞かれる理由として、最もよく知られているのが、人間には108の煩悩があるという考え方です。
一打一打の鐘の音によって煩悩を一つずつ取り除き、心を清めて新年を迎えるという意味が込められています。
ただし、108という数字の由来については一つの説だけで決まっているわけではありません。
仏教では108という数字を導く考え方が複数あり、代表的なものとして「六根」などから108を数える説があります。
108の煩悩はどうやって数える?
108の煩悩を説明する代表的な考え方の一つが、六根・好悪平・染浄・三世を組み合わせる方法です。
まず、仏教では人間の感覚や意識を「六根」として、
- 眼(視覚)
- 耳(聴覚)
- 鼻(嗅覚)
- 舌(味覚)
- 身(触覚)
- 意(意識)
の6つに分けて考えます。
そこから生じる感覚を、
- 好=好ましい
- 悪=好ましくない
- 平=どちらでもない
の3種類に分けます。
さらに、それぞれを「染」と「浄」に分け、過去・現在・未来という「三世」を掛け合わせます。
計算すると、
6 × 3 × 2 × 3 = 108
となります。
このようにして、108という数を説明する考え方があります。
108回には複数の説がある
「除夜の鐘=108回=108の煩悩」という説明が最も有名ですが、108という数字については複数の説があります。
代表的なのは次の3つです。
| 説 | 108の考え方 |
| 煩悩説 | 人間の108の煩悩を表す |
| 暦説 | 12か月+24節気+72候=108 |
| 四苦八苦説 | 4×9+8×9=108 |
どれか一つだけが絶対的な由来というより、108という数字を説明するさまざまな説が伝えられていると考えるとよいでしょう。
108は1年を表しているという説
108という数字には、一年の暦に関係しているという説もあります。
一年の、
- 12か月
- 24の二十四節気
- 72の七十二候
を合計すると、
12+24+72=108
になります。
二十四節気は一年を24の時期に分けたもので、七十二候はさらに細かく分けたものです。
そのため、108回の鐘には一年そのものを表す意味があるという考え方もあります。
四苦八苦を取り除くという説もある
もう一つ知られているのが、「四苦八苦」を108に結びつける説です。
「四苦」を4×9、「八苦」を8×9として計算すると、
4×9+8×9=36+72=108
となります。
「四苦八苦」は仏教に由来する言葉で、人間が避けることのできないさまざまな苦しみを表します。
そこから、108回の鐘によって四苦八苦を取り除き、苦しみや悩みから解放されて新年を迎えるという説明があります。
ただし、この説は数字を使った説明の一つであり、108の由来には複数の説があることを覚えておきましょう。
煩悩にはどんなものがある?
煩悩というと「欲深い気持ち」のように思われがちですが、仏教ではもっと広く、人間の心を迷わせたり、苦しみを生じさせたりする心の働きを指します。
たとえば、
- 欲しいものを手に入れたいという欲
- 思い通りにならないことへの怒り
- 他人と比べてしまう気持ち
- 物事への執着
- 心配や迷い
など、私たちの日常生活にも関係する心の動きがあります。
除夜の鐘は、そうした煩悩を一つずつ鐘の音で払い、新しい年をより清らかな気持ちで始めようという願いにつながっています。
3. 除夜の鐘は何時から何時まで?108回はいつ撞く?
除夜の鐘は何時から撞き始める?
除夜の鐘を撞く時間は、寺院によって異なります。
一般的には、大晦日の夜から年が明ける午前0時ごろにかけて撞かれます。
寺院によっては23時ごろから始めるところもあれば、一般の参拝者が参加できるよう、もっと早い時間から鐘を撞く場合もあります。
そのため、実際に見に行く場合は「除夜の鐘だから23時30分に行けば大丈夫」と決めつけず、寺院ごとの開催時間を確認することが大切です。
なぜ107回を大晦日に、最後の1回を新年に撞くの?
除夜の鐘は、一般的な説明では大晦日に107回、新年になってから最後の1回を撞くとされています。
107回までを旧年中に撞き、最後の1回を新年に撞くことで、古い年の煩悩を払い、新しい年を迎えるという意味につながります。
ただし、これはすべての寺院で統一されたルールではありません。
寺院によっては108回すべてを年内に撞いたり、年をまたいで撞いたりするなど、撞き方には違いがあります。
つまり、
「107回を大晦日、最後の1回を新年」という方法は代表的な撞き方の一つ
と考えるのが適切です。
除夜の鐘は108回と決まっているの?
実は、すべての寺院が必ず108回と決められているわけではありません。
一般的には108回がよく知られていますが、寺院によっては108回以上撞く場合もあります。
特に一般の参拝者が鐘を撞ける寺院では、多くの人に体験してもらうため、108回を超えて撞くこともあります。
また、時間や地域、寺院の方針によっても撞き方は異なります。
除夜の鐘を実際に見に行く場合は、その寺院独自のルールを事前に確認することが大切です。
4. 除夜の鐘の由来と歴史
除夜の鐘はいつから始まった?
除夜の鐘の起源については、中国の宋代に始まったとする説明があり、日本では鎌倉時代以降、禅寺などで朝夕に鐘を撞く習慣があり、その後、室町時代ごろから除夜に撞く形になったとする資料があります。
そのため、現在のような除夜の鐘が日本で最初から全国的に行われていたわけではなく、寺院で鐘を撞く文化があり、それが年越しの習慣と結びついていったと考えられます。
日本で除夜の鐘が定着した背景
日本では古くから、年末年始は一年の区切りとして大切にされてきました。
大晦日には一年を締めくくり、元日には新しい年を迎えます。
その大晦日の夜に寺院から響く鐘の音は、「今年が終わり、新しい年が始まる」という時間の区切りを象徴するものとして、人々の生活に定着していきました。
除夜の鐘については、中国の宋時代に起源があり、日本では鎌倉時代以降、室町時代から除夜に撞くようになったという説明もあります。
除夜の鐘は日本独自の風習なの?
除夜の鐘につながる鐘の文化には、中国から伝わった背景があります。
一方で、現在の日本で見られるような「大晦日の夜に寺院の鐘を聞きながら新年を迎える」という風景は、日本の年越し文化の一つとして定着しています。
つまり、鐘を撞く文化のルーツと、日本で発展した年越しの習慣を分けて考えると分かりやすいでしょう。
5. 除夜の鐘を撞くときの意味とマナー
一般の人も除夜の鐘を撞ける?
一般の参拝者が除夜の鐘を撞けるかどうかは、寺院によって異なります。
誰でも参加できる寺院がある一方、
- 整理券が必要
- 先着順
- 人数制限がある
- 参拝者のみ参加可能
- 鐘を撞ける時間が決まっている
などの条件が設けられている場合もあります。
「除夜の鐘を撞いてみたい」と思ったら、事前に寺院の案内を確認しておきましょう。
除夜の鐘を撞くときの基本的なマナー
一般の人が鐘を撞ける寺院では、次のような点に注意しましょう。
順番を守る
多くの人が訪れる寺院では長い列ができることがあります。
割り込みなどをせず、係員の案内に従って順番を待ちましょう。
丁寧な動作を心がける
鐘は力任せに撞けばよいというものではありません。
一年の感謝や新年への願いを込めて、寺院の指示に従って丁寧に撞きましょう。
寺院ごとのルールを守る
整理券や人数制限、受付時間などがある場合は、必ずそのルールに従います。
また、深夜の行事なので、周囲の参拝者や近隣の住民への配慮も大切です。
除夜の鐘を聴くだけでも意味がある?
もちろん、実際に鐘を撞かなくても、除夜の鐘を聴きながら一年を振り返ることには意味があります。
大晦日の静かな夜に響く鐘の音を聞き、
「今年はどんな一年だっただろう」
「新しい年はどんな一年にしたいだろう」
と考える。
それだけでも、除夜の鐘が持つ一年の区切りを感じ、新しい年を迎える心の準備につながります。
6. 除夜の鐘を撞ける有名なお寺
知恩院の除夜の鐘
京都の知恩院は、除夜の鐘で特に有名な寺院の一つです。
大きな梵鐘を複数の僧侶が息を合わせて撞く様子は迫力があり、年末の風物詩として知られています。
一般的な鐘の撞き方とは異なる迫力ある光景を見ることができるため、除夜の鐘を象徴する寺院の一つとして紹介されることが多いです。
その他の有名な寺院
除夜の鐘は全国各地の寺院で行われています。
有名な寺院だけでなく、地域のお寺でも除夜の鐘を行っている場合があります。
ただし、有名なお寺だから必ず一般参拝者が鐘を撞けるとは限りません。
また、開催時間や整理券の有無なども毎年変わる可能性があります。
除夜の鐘を撞きに行く前に確認したいこと
| 確認すること | 内容 |
| 開始時間 | 何時から鐘を撞くのか |
| 一般参加 | 参拝者が鐘を撞けるか |
| 整理券 | 整理券や予約が必要か |
| 人数制限 | 参加できる人数が決まっているか |
| 終了時間 | 何時ごろまで行われるか |
| 交通手段 | 深夜の移動方法を確認する |
特に人気の寺院では混雑する可能性があるため、参加する場合は事前に最新の案内を確認しておくことが大切です。
7. 除夜の鐘と除夜祭の違い
除夜の鐘は寺院で行われる行事
除夜の鐘は、基本的に寺院で行われる年越しの行事です。
仏教と関係が深く、煩悩を払い、清らかな心で新年を迎えるという意味があります。
除夜祭は神社で行われる年越しの神事
一方、「除夜祭」は神社で行われる年越しの神事です。
名前は似ていますが、除夜の鐘と除夜祭は同じものではありません。
寺院 → 除夜の鐘
神社 → 除夜祭
というように、行われる場所や宗教的な背景が異なります。
どちらも新年を迎えるための行事
除夜の鐘と除夜祭は別の行事ですが、どちらも一年の終わりに行われ、新しい年を迎える節目の行事という点では共通しています。
年末年始に寺院や神社を訪れる際には、それぞれの意味を知っておくと、より深く日本の年越し文化を感じられるでしょう。
8. まとめ|除夜の鐘にはどんな意味がある?
除夜の鐘は、大晦日の夜から新年にかけて寺院で撞かれる鐘で、古い年を締めくくり、煩悩を払い、清らかな気持ちで新しい年を迎えるという意味が込められています。
108回撞く理由として最もよく知られているのは「人間の108の煩悩」ですが、ほかにも、
- 12か月+24節気+72候=108
- 四苦八苦を数字にして108
という説があります。
また、108回の撞き方についても、107回を大晦日に撞いて最後の1回を新年に撞く方法だけでなく、寺院によってさまざまな方法があります。
除夜の鐘は、単に年が変わることを知らせる鐘ではありません。
一年を振り返り、これまでの悩みや迷いを手放し、「新しい年をより良い気持ちで迎えよう」と心を整えるための年越しの風習でもあります。
大晦日の夜に除夜の鐘を聞く機会があれば、108回という数字の意味を思い出しながら、一年を静かに振り返ってみてはいかがでしょうか。

