成人式は、家族や親戚にとって、子どもが立派な大人になったことを心から祝福する特別な日です。この門出に際し、気持ちを込めてお祝いを贈る際、祝儀袋の書き方は重要なマナーとなります。
この記事では、成人式のお祝い袋(ご祝儀袋)の選び方から、表書きの正しい書き方、名前の記入ルール、裏書きのマナーまで、失敗しないためのポイントを解説します。
1. 成人式お祝い袋の基本知識
成人式とは?お祝いの意味と重要性
成人式は、新成人(多くの場合、歳を迎える若者)の節目を祝い、大人としての自覚と責任を促すために自治体が開催する式典です。
お祝いを贈る行為には、「これからは社会の一員として自立し、幸福な人生を送れるように」という、目上の方や親族からの温かい励ましと願いが込められています。成人祝いは、結婚や出産といった人生の大きなイベントとは異なり、「自立」をテーマにしたお祝いです。
お祝い袋の種類と特徴
お祝い袋には、さまざまな種類がありますが、用途によって適したものが決まっています。
- 一般的な祝儀袋(のし袋) 水引が印刷されたものから、豪華な飾り水引がついたものまであります。
- 金封 中にお金を入れる袋の総称です。
- 熨斗(のし) 右上に付いている飾りのことです。元々はアワビを薄くのばして乾燥させたもので、お祝い事の「引き伸ばす」という意味や、生ものを添える略式としての意味があります。
成人式に適したお祝い袋の選び方
成人祝いは何度あっても喜ばしいお祝い事なので、水引の結び方に注意して選びましょう。
| 項目 | 成人祝いでの正しい選び方 | 注意すべき点 |
|---|---|---|
| 水引の結び方 | 蝶結び(花結び) | 結び切りは「一度きり」の慶事(結婚など)用でNG |
| 水引の色 | 紅白(基本) / 金銀(5万円以上の高額な場合) | |
| 熨斗(のし) | 必須(のしが付いているものを選ぶ) | |
| 筆記具 | 毛筆または筆ペン(濃い黒色) | 薄墨は弔事用でNG。ボールペン、万年筆も避ける |
| お札 | 新札を用意する | シワや折り目のついたお札は失礼にあたる |
2. 成人式お祝い袋の書き方
表書きの基本ルールと注意点
表書きは、お祝い袋の「顔」となる最も重要な部分です。毛筆または筆ペンを使い、濃い墨で丁寧に書きましょう。薄墨は弔事(不祝儀)用です。
表書き(上段)の書き方
成人式のお祝いでは、以下のいずれかを記載するのが一般的です。
- 寿 最も丁寧で汎用性の高いお祝いの言葉です。
- 御祝 一般的なお祝いとして使われます。
- 御成人御祝 成人式に特化した、より具体的な表書きです。
「祝成人」のように文字になる表現は、が「死」を連想させるため、避ける人もいます。基本的には「寿」または「御祝」が無難です。
注意点
- 水引の上部中央に、文字が水引にかからないように書きます。
名前の書き方 漢字とカタカナの選び方
名前(下段)の書き方
表書きの真下に、表書きよりもやや小さめの文字でフルネームを記載します。
- 個人で贈る場合 氏名をフルネームで記入します。
- 夫婦で贈る場合 中央に夫の氏名をフルネームで書き、その左隣に妻の名前のみを記載します。
- 連名で贈る場合 右から目上の人(年長者)の氏名を書き、左に向かって順に書いていきます。名程度までが綺麗に収まる目安です。
漢字とカタカナの選び方
- 基本は「楷書体の漢字」 目上の方へ贈る場合や、丁寧さを重視する場合は、フルネームを楷書体の漢字で書くのが正式なマナーです。
- カタカナの使用 原則として、お祝い袋の名前は漢字を使いますが、円程度のカジュアルなお祝いや、親しい間柄で読み間違いを避けたい場合に、「(氏名)より」として内袋に添え書きする程度に留めましょう。表書きは正式に漢字で書くことをおすすめします。
裏書きについて 知っておくべきマナー
裏書きには、「誰が、いくら、お祝いしたか」を正確に伝える役割があります。
中袋(内袋)がある場合
お祝い金を入れる中袋がある場合は、以下の情報を記入します。
- 表面(中央) 封入した金額を旧字体(大字)で縦書きします。
- 例 金壱萬円
- 例 金伍萬円
- 裏面(左下) 差出人の住所と氏名を記入します。
中袋がない場合(簡易的な袋)
裏面の左下に住所と氏名を記入します。お祝い金は、祝儀袋に直接入れます。
3. 金額の書き方と金封の選び方
金額を書く際のマナーと注意点
金額を中袋に記載する際は、改ざん防止のために旧字体(大字)を用いるのが正式なマナーです。
| 金額 | 常用漢数字 | 旧字体(大字) | 記載例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 一 | 壱 | 金壱萬円 |
| 2 | 二 | 弐 | 金弐萬円 |
| 3 | 三 | 参 | 金参萬円 |
| 5 | 五 | 伍 | 金伍萬円 |
| 10 | 十 | 拾 | 金拾萬円 |
成人式のお祝い金額の一般的な相場
お祝いの金額は、贈る側の立場と新成人との関係性によって異なります。
| 贈る側との関係 | 一般的な相場 |
|---|---|
| 祖父母 | 10,000円~100,000円(記念品を含むことが多い) |
| 叔父・叔母 | 10,000円~30,000円 |
| 兄弟・姉妹 | 5,000円~20,000円 |
| 知人・友人 | 3,000円~10,000円 |
金封のデザインと選び方のポイント
贈る金額に合わせて、金封のデザインの豪華さも変えるのが一般的です。
- 1万円以下 水引が印刷されたタイプや、シンプルな紅白の祝儀袋で十分です。
- 1万円〜3万円 立体的で本格的な飾り水引が付いたものを選びます。
- 5万円以上 最高級の金封(和紙の質感や水引の結びが豪華なもの)を選びましょう。
4. お祝い袋のデザインと水引の意味
水引の種類と用途解説
お祝い袋にかけられる水引は、その結び方によって意味が異なります。特に成人祝いのような「何度あっても良い」お祝い事では、結び方を間違えないよう注意が必要です。
成人式のお祝いでは、蝶結びが正しいマナーです。
| 結び方 | 特徴 | 意味合い | 主な用途(適用事例) |
|---|---|---|---|
| 蝶結び(花結び) | 結び目が簡単にほどけ、何度でも結び直せる形。 | 「何度でも繰り返したい」「おめでたいことが重なる」という願いを込める。 | 成人祝い、出産祝い、入学・卒業祝い、新築・開店祝い、昇進祝い、お中元・お歳暮など。 |
| 結び切り | 一度結ぶと固く結ばれ、二度とほどけない形。 | 「一度きりであってほしい」「二度と繰り返さない」という願いを込める。 | 結婚祝い、弔事(不祝儀)、全快祝い、快気祝い、お見舞い(退院後)など。 |
| あわじ結び | 結び切りと同じくほどけにくい形だが、両端を引っ張るとさらに強く結ばれる。 | 「末永いお付き合い」「長寿・長久」の意味を持ち、結婚や弔事、慶事全般に使える地域もあるが、一般的には結び切りの代用とされる。 | 結婚祝い、弔事(関西地方などで使用されることが多い)。 |
成人式は「蝶結び」が正しいので、絶対に間違えないように注意しましょう。
紅白以外の水引デザインの選び方
成人祝いでは、基本的に紅白の水引を選びますが、5万円以上の高額を贈る場合は、紅白の代わりに金銀の水引を選ぶと、より丁寧で豪華な印象になります。
5. お祝い袋の記入例と見本
表書き(ご祝儀袋の表面)記入見本
表書きと氏名は、毛筆または筆ペン(濃い黒)を使い、楷書体で丁寧に書きます。
| 項目 | 記入位置 | 記入内容(見本) | 記入のポイント |
|---|---|---|---|
| 表書き(上段) | 中央上部 | 寿 または 御成人御祝 | 最も丁寧なのは「寿」。御祝儀袋の中央に太く、大きく書きます。 |
| 差出人名(下段:個人) | 中央下部 | 山田 太郎 | 表書きの文字よりやや小さく、中央にフルネームで記入します。 |
| 連名(夫婦) | 下段 | 山田 太郎(中央) / 花子(左横) | 夫(目上)の氏名を中央に、妻の名前を左に続けます。 |
| 連名(3名以下) | 下段 | 右から:佐藤 / 田中 / 鈴木 | 目上の方を右端(筆頭)にし、順に左へ氏名のみを記入します。 |
| 連名(4名以上) | 下段 | 田中 太郎 他一同 | 代表者1名の氏名を記入し、その左下に小さく「他一同」と記入します。 |
中袋(内袋)の記入見本
中袋には、包んだ金額と差出人の住所・氏名を正確に記入します。
| 項目 | 記入場所 | 記入内容(見本) | 記入のポイント |
|---|---|---|---|
| 金額(表面) | 中央 | 金壱萬円 | 必ず旧字体(大字)で縦書きします。漢数字は改ざん防止のため避けます。 |
| 住所・氏名(裏面) | 左下 | 〒123-4567 東京都新宿区… / 山田 太郎 | 郵便番号と住所は省略せずに正確に記入し、新成人が誰からのお祝いかわかるようにします。 |
お札の入れ方と封の閉じ方
お札の向きは「お祝いの気持ち」を表す重要なマナーです。
| 項目 | ルールとマナー | 確認事項 |
|---|---|---|
| お札の状態 | 新札(ピン札)を用意する | 新札を事前に銀行で両替したか。 |
| お札の向き(中袋) | 中袋の表側に対し、お札の肖像画が上向きになるように入れる。 | お札を取り出す際、肖像画が最初に見える状態になっているか。 |
| 中袋の閉じ方 | のり付けは不要 | 中袋の裏面の合わせは、下側の折り返しを上に重ねるのが慶事のマナー。 |
| ご祝儀袋の閉じ方 | 祝儀袋本体の裏面も、下側の折り返しを上に重ねるのが慶事のマナー。 | 折り返しを逆にしていないか。 |
6. 成人式お祝い袋を迷わず選ぶためのチェックリスト
準備する前に確認しておくべきポイント
- 水引の結び方 蝶結びであることを確認しましたか?(結び切りは)
- 表書き 寿または御成人御祝のどちらで書くか決めましたか?
- 筆記具 濃い墨の筆ペンを用意しましたか?(ボールペン、万年筆は避ける)
- 金額 相場を確認し、1万円札を新札で用意しましたか?(新札で包むのがマナー)
- 中袋の金額 旧字体(大字)で3万円なら「金参萬円」と書きましたか?
失敗を避けるための最終チェック
- 4のつく金額を避ける 4万円は「死」を連想させるため、1万円か3万円にするのが望ましいとされています。
- お札の向き お祝い袋の表側に対して、人物(肖像画)が上向きになるように入れます。中袋から取り出したときに、お札の表面がすぐに見えるようにしましょう。
渡し方 そのまま渡さず、袱紗(ふくさ)に包んで持参し、相手の前で袱紗から出して渡すのが丁寧です。

