お正月のにぎやかさが少し落ち着くころ、1月7日に迎える「七日正月(なのかしょうがつ)」。
名前は聞いたことがあっても、「どんな意味があるの?」「何をする日なの?」と、実はよく知らないまま過ぎてしまっている方も多いのではないでしょうか。
七日正月は、お正月の締めくくりとして、心と体をそっと整えるための、やさしい節目の日です。
この記事では、七日正月の基本から由来、七草粥の意味、そして現代の暮らしに合った過ごし方まで、丁寧にご紹介します。
「行事は好きだけど、難しい話はちょっと苦手」「できる範囲で季節の習慣を取り入れたい」
そんな方も、安心して読み進めてくださいね。
七日正月って何?基本をやさしく知ろう

七日正月の読み方と簡単な意味
七日正月は「なのかしょうがつ」と読みます。意味はとてもシンプルで、1月7日に迎えるお正月の区切りの日のことを指します。
お正月というと、1月1日〜3日の三が日を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、昔の日本では、それだけで終わるものではありませんでした。
家族で新年を祝い、年神様をお迎えし、心を整えながら少しずつ日常へ戻っていく。
そんな「お正月の流れ」の最後に位置づけられていたのが、七日正月です。
にぎやかなお祝いの日というよりも、一区切りとして心と体を落ち着かせる日。そう考えると、七日正月のやさしい意味合いが、より身近に感じられますね。
いつの行事?日付とカレンダー上の位置づけ
七日正月は、毎年1月7日と日付が決まっています。祝日ではありませんが、曜日に関係なく、必ずこの日に行われます。
年末年始の慌ただしさが少しずつ落ち着き、仕事や学校が本格的に始まる頃と重なるため、「そろそろ通常モードに戻ろうかな」と感じる方も多い時期です。
そのため七日正月は、無理なく生活リズムを整えたり、気持ちを切り替えたりするのに、ちょうどよいタイミングの行事といえるでしょう。
忙しい現代だからこそ、こうした節目の日がそっと用意されているのは、うれしいことですね。
松の内・正月三が日との違い
七日正月を理解するうえで、「正月三が日」や「松の内」との違いを知っておくと、より分かりやすくなります。
・正月三が日
1月1日〜3日までの、最もお正月らしい期間
・松の内
年神様をお迎えしている期間(地域差はあるものの、一般的には1月7日まで)
七日正月は、この「松の内」が終わる節目の日として位置づけられています。
つまり、お正月の特別な時間がひと区切りつき、少しずつ普段の生活へ戻っていく合図の日。
そう考えると、七日正月は決して難しい行事ではなく、自然な日本の暮らしの流れの中にある、大切なポイントだとわかります。
七日正月のはじまりと歴史的背景
中国の「人日(じんじつ)」の節句との関係
七日正月のもとになったのは、中国の古い行事である「人日(じんじつ)の節句」です。
中国では、1月1日から7日までをそれぞれ意味のある特別な日として考えていました。その中で7日目は「人の日」とされ、人を罰したり争ったりすることを避け、人の健康や幸せ、無事な一年を願う日だったといわれています。
つまり、人日とは、人そのものを大切にし、命や暮らしに感謝するための日。この考え方が、日本の七日正月の精神的な土台になっています。
「人の健康を願う」「一年を穏やかに過ごしたいと祈る」そんなやさしい気持ちが込められていたことが、七日正月が長く受け継がれてきた理由のひとつなのです。
日本に伝わった時代と庶民への広まり
この中国の風習は、奈良時代から平安時代にかけて日本へ伝わったとされています。最初は宮中行事として行われ、天皇や貴族たちが、七草を使った料理を口にしながら健康を願っていました。
その後、時代が進むにつれて、こうした行事は少しずつ形を変えながら、武家や町人、農民など、庶民の暮らしにも広がっていきます。
特に江戸時代以降になると、七草粥を食べる習慣が一般の家庭にも浸透し、「1月7日は体をいたわる日」という考え方が自然と根づいていったといわれています。
なぜ正月行事の区切りと考えられているのか
七日正月が正月行事の区切りとされているのは、年神様をお迎えする特別な期間が終わり、日常生活へ戻る節目にあたるからです。
お正月は、一年の幸せや豊作、健康をもたらす年神様をお迎えする大切な期間。その滞在が終わるタイミングとして、七日正月は意味のある日と考えられてきました。
この日を境に、気持ちを切り替え、仕事や学校、普段の暮らしへ戻っていく。
七日正月は、単なる行事の日ではなく、心と生活を整えるための、静かで大切な区切りの日として受け止められてきたのです。
七日正月は「正月の締めくくり」とされる理由

門松・しめ縄を片付ける時期との関係
七日正月は、正月飾りを片付ける目安の日でもあります。
門松やしめ縄は、年神様をお迎えするための大切な目印とされてきました。そのため、これらを外すタイミングには、きちんとした意味が込められています。
七日正月を過ぎると、「お正月の特別な時間がひと区切りついた」という合図になります。門松やしめ縄を片付けることで、気持ちの上でも少しずつ日常へ戻っていく準備が整うのです。
無理にきっちり守らなくても、「そろそろ通常の暮らしに戻ろうかな」と感じる、その気持ちこそが大切にされてきました。
年神様を見送るという考え方
お正月にお迎えしていた年神様を、感謝の気持ちとともにお見送りする日。それが七日正月です。
年神様は、一年の幸せや健康、実りをもたらしてくれる存在と考えられてきました。そのため、ただ飾りを外すのではなく、「ありがとうございました」という感謝の気持ちを込めて見送ることが、大切だとされていたのです。
形式ばった作法よりも、心の中でそっと感謝するだけでも十分。七日正月は、神様とのご縁を静かに締めくくる、やさしい意味を持った日でもあります。
気持ちを日常に戻す節目の日
にぎやかなお正月から、普段の生活へ戻るための心の切り替え。それも七日正月の大きな役割です。
年末年始は、楽しい反面、生活リズムが乱れやすい時期でもありますよね。七日正月は、そんな心と体をゆっくり整え、「また日常を頑張ろう」と気持ちを落ち着けるための節目です。
七日正月は、急に切り替えるのではなく、少しずつ元のペースに戻していくための、とてもやさしい区切りの日。忙しい現代だからこそ、このような節目の考え方は、今の私たちにもそっと寄り添ってくれます。
七日正月に食べる七草粥とは?

七日正月と聞いて、多くの方が思い浮かべるのが「七草粥」ではないでしょうか。七草粥は、七日正月を象徴する存在ともいえる行事食で、昔から人々の暮らしにそっと寄り添ってきました。
ここでは、七草粥がどのようにして定着したのか、そして春の七草やおかゆに込められた意味を、見ていきましょう。
七草粥が定着した理由
七草粥は、中国の「人日の節句」の流れをくみながら、日本の暮らしの中で少しずつ形を変え、一年の健康を願う行事食として定着していきました。
もともとは、若菜を使った料理を食べて無病息災を願う風習が始まりとされています。その後、日本ではお米を使ったおかゆの形に落ち着き、「1月7日は七草粥を食べる日」という習慣が広まっていきました。
特別なごちそうではありませんが、体を思いやり、これからの一年を大切に過ごそうとする気持ちが込められているそんなところが、今も多くの家庭で受け継がれている理由なのかもしれませんね。
春の七草の名前とそれぞれの意味
春の七草は、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロの7種類です。
どれも春先に芽吹く、生命力あふれる草で、昔の人々はそこに「健康」や「再生」の願いを重ねていました。
たとえば、
・セリは食欲を高める
・ナズナは体を整える
・スズナ(かぶ)やスズシロ(大根)は消化を助ける
など、それぞれに体をいたわる意味があるとされています。
名前や効能をすべて覚えなくても大丈夫です。「自然の力を少しだけいただく」そんな気持ちで七草粥を味わうだけで、十分に意味があるといえるでしょう。
なぜ「おかゆ」なのか?
七草粥が「おかゆ」の形で食べられてきたのには、きちんとした理由があります。
おかゆは、消化がよく、胃腸に負担をかけにくい食事です。
お正月は、ごちそうやお酒が続きやすく、知らず知らずのうちに体が疲れてしまいがちですよね。そんな体をやさしく休ませ、内側から整えるために、おかゆはとても理にかなった食べ物なのです。
七草粥は、「栄養をたっぷり取る」というよりも、「体をいたわり、整える」ことを大切にした一杯。
だからこそ、七日正月という節目の日に、今の自分の体と心にそっと向き合うきっかけとして、長く親しまれてきたのかもしれません。
七草粥を食べるとされる2つの大切な意味
一年の健康を願う風習
春の七草の力をいただき、無病息災を願うという意味があります。
寒い冬を越えて芽吹く七草には、「これからまた元気に育っていく」という生命力の象徴が込められてきました。その自然の力を体に取り入れることで、一年を通して病気をせず、健やかに過ごせますようにと願ったのです。
特別な祈りの言葉を唱えなくても、「今年も元気でいられますように」と心の中でそっと願いながら食べるだけで、七草粥は十分に意味のある一杯になります。
お正月で疲れた胃腸をいたわる知恵
ごちそう続きで疲れた体を、内側からやさしく整えてくれます。
お正月は、お餅や揚げ物、甘いものなど、普段より少し重たい食事が続きやすい時期です。そのため、自覚がなくても胃腸には負担がかかっています。
七草粥は、消化のよいおかゆをベースにしているため、弱った胃腸を休ませながら、体のリズムをゆっくり元に戻してくれます。
「しっかり栄養を取らなきゃ」と頑張るよりも、この日はあえて体を休ませるそんな昔の人の知恵が、七草粥という形で今も受け継がれているのです。
七日正月にやること・やらないこと
本来行われていた習慣
昔から七日正月に行われてきたことは、どれもとても静かで、心と体をいたわる内容が中心です。
・七草粥を食べて一年の健康を願う
・門松やしめ縄などの正月飾りを片付ける
・騒がしく過ごさず、穏やかな気持ちで一日を送る
お祝いというよりも、「区切りの日として整える」意味合いが強く、無理をしないことが大切にされていました。忙しい中でも、静かに健康を祈る時間を持つことが、本来の七日正月の過ごし方だったのです。
現代ではどこまで気にすればいい?
結論から言うと、無理にすべてを行う必要はありません。
現代の生活では、仕事や家事、育児などで毎日が忙しく、昔と同じ形をそのまま再現するのは難しいですよね。七日正月は「きちんと守らないといけない行事」ではなく、気持ちを整えるための目安の日と考えると、ぐっと気が楽になります。
七草粥を食べられなくても、
・体にやさしい食事を意識する
・少し早めに休む
・一年の健康を思い出す
といったことができれば、それだけでも十分です。
忙しい人向けのシンプルな過ごし方
「行事は気になるけれど、時間が取れない…」という方には、次のようなシンプルな過ごし方がおすすめです。
・消化のよい食事や温かいメニューを選ぶ
・夜はスマホやテレビを控えて、早めに休む
・『今年も元気で過ごせますように』と心の中で願う
ほんの少し意識を向けるだけでも、七日正月の意味は十分に感じられます。完璧を目指さず、今の自分の生活に合った形で取り入れてみてくださいね。
地域や家庭による七日正月の違い
七日正月の過ごし方は、実は全国どこでも同じというわけではありません。地域の風土や歴史、そして各家庭の考え方によって、少しずつ違いがあります。ここでは、そうした違いを見ていきましょう。
地域ごとの呼び方や風習
地域によって、七日正月をどれくらい大切にするか、その受け止め方はさまざまです。
たとえば、七日正月という呼び名があまり使われず、「七草の日」として親しまれている地域もあります。また、正月行事の一区切りとして意識する地域もあれば、特別な行事としてはあまり意識されていない地域もあります。
これは、気候や暮らし方の違い、正月文化の伝わり方が地域ごとに異なるためです。どれが正しい・間違っているということではなく、それぞれの土地に合った形で受け継がれてきた結果といえるでしょう。
七草粥以外を食べる地域もある?
七日正月といえば七草粥が有名ですが、必ずしもすべての地域で同じものを食べているわけではありません。
中には、七草が手に入りにくかったため、体にやさしい別の料理で代用してきた地域もあります。たとえば、野菜たっぷりの汁物や、薄味のおかずなど、胃腸を休めることを意識した食事が選ばれてきました。
大切なのは「七草粥を食べること」そのものよりも、正月で疲れた体をいたわり、一年の健康を願うという気持ちです。その思いがあれば、食事の形は柔軟でもよいと考えられています。
家庭ごとの考え方の違い
家庭の数だけ、七日正月の過ごし方があります。
毎年きちんと七草粥を用意する家庭もあれば、「今日は胃にやさしい食事にしよう」と意識するだけの家庭もあります。また、特に何もしないけれど、心の中で一年の健康を願う、という形を大切にしている方もいるでしょう。
どの過ごし方も間違いではありません。七日正月は、誰かと比べるための行事ではなく、それぞれの暮らしに寄り添う、やさしい節目の日です。
ご自身やご家族にとって無理のない形で、「少しだけ意識してみる」それだけでも、七日正月の意味は十分に生きてきます。
よくある疑問Q&A|七日正月の素朴な質問
七日正月については、「これで合っているのかな?」と不安になることもありますよね。ここでは、特に多く寄せられる素朴な疑問を、やさしく解説していきます。
七草粥を食べないと縁起が悪い?
結論から言うと、七草粥を食べなかったからといって、縁起が悪くなることはありません。七日正月や七草粥は、本来「無理なく一年の健康を願う」ための行事です。
そのため、体調がすぐれない日や、どうしても用意できなかった場合は、無理に食べる必要はありません。大切なのは、「今年も元気で過ごせますように」と自分や家族の健康を思う気持ちです。
七草粥を食べられなくても、胃にやさしい食事を選んだり、ゆっくり休んだりするだけでも、七日正月の意味は十分に大切にできますよ。
7日を過ぎて食べても意味はある?
1月7日を過ぎてから七草粥を食べても、体をいたわるという意味は変わりません。本来は七日正月に食べるものですが、日付に強くこだわりすぎる必要はないと考えられています。
特に現代の生活では、仕事や家庭の事情で当日に用意できないこともありますよね。その場合は、数日遅れてしまっても、「お正月で疲れた体を休めよう」という目的で取り入れてみてください。
行事としての形式よりも、自分の体調や生活リズムを大切にすることが、七日正月の本来の考え方に近いといえるでしょう。
スーパーの七草セットは使っていい?
はい、スーパーで売られている七草セットを使ってまったく問題ありません。むしろ、現代の暮らしに合わせた、とても便利でありがたい存在です。
昔は野原で七草を摘んでいましたが、今は環境や安全面を考えると難しいですよね。市販の七草セットなら、必要なものがそろっていて、下処理もしやすいため、忙しい方にもぴったりです。
大切なのは、「正しい七草を使ったかどうか」よりも、七日正月を意識し、体をいたわる時間を持つこと。気負わず、手に入れやすい方法で、七日正月を楽しんでくださいね。
まとめ|七日正月は無理せず日本文化を楽しむ日

七日正月のポイントおさらい
七日正月は、
・1月7日に行われる正月の締めくくり
・一年の健康や無病息災を願う日
・七草粥を通して体をいたわる習慣
といった意味を持つ、日本ならではのやさしい行事です。
難しい決まりごとよりも、「区切りの日として意識すること」「自分や家族の健康を思う気持ち」を大切にしてきた文化だといえるでしょう。
現代の生活に合った取り入れ方
忙しい毎日の中では、昔ながらの形をすべて守るのは大変ですよね。
・市販の七草セットを使う
・七草粥でなくても胃にやさしい食事を選ぶ
・一年の健康を静かに願う時間を持つ
そんな小さなことでも十分です。
七日正月は、「きちんとやらなければいけない行事」ではなく、日本の季節文化を、自分のペースで楽しむための日。
無理をせず、今の暮らしに合った形で、七日正月を取り入れてみてくださいね。

